夜の海岸で遭遇してしまった者は
なるかみこ@narukamiko
その海岸は、地元では有名な散歩コースだった。昼間は釣り人や犬の散歩で賑わうが、夜になると一気に人がいなくなる。理由は単純で街灯がほとんどない。
俺がその海岸を歩いていたのは、仕事帰りに頭を冷やしたかったからだ。時刻は夜の10時過ぎ。潮はちょうど引き始めていた。波の音だけが響く中、ふと遠くの岩場に人影が見えた。
なるかみこ@narukamiko
こんな時間に、しかも干潮の岩場に立っている。釣りにしては道具がない。散歩にしては、やけに海側に近い。気になって目を凝らすと、その人は微動だにしていなかった。しばらく歩いていると、また同じ人影が見えた。位置が少し近い。
「……移動した?」
そう思ったが、足音も波を踏む音も聞こえなかった。
なるかみこ@narukamiko
さらに進むと三度目の人影。今度は、さっきよりもはっきりと“人”だと分かった。濡れた服。俯いた頭。だが、顔だけが影になって見えない。声をかけようとしてやめた。声を出したら、振り向く気がした。
潮が大きく引き、普段は海に沈んでいる場所が現れた。そこに何人もの人が立っていた。全員が同じ向き。全員が同じ姿勢。誰一人と動かない。その瞬間、背後から波の音が消え、代わりに耳元で囁く声がした。
「まだ、満ちてないのに」
振り返るとそこには誰もいない。だが、足元を見ると俺の影だけが海の方を向いて伸びていた。急に怖くなり、来た道を引き返した。走っても、走っても、背後の気配が消えない。
なるかみこ@narukamiko
ふと立ち止まり、恐る恐る振り返る。そこには、さっきまで岩場に立っていた人たちが、等間隔で並んでいた。全員が俺の方を向いている。
そして、一斉に一歩、前に出た。
次に気づいたとき、俺は海岸の入口に座り込んでいた。時計を見ると、歩き始めてから5分しか経っていない。潮位表を確認すると、まだ満潮の時間帯だった。なのに、靴の中は海水でぐっしょり濡れていた。
ななし@F8Kp3L
夜の海岸ってだけで怖いのに、干潮関係なく立ってる人はアウト
ななし@R9sQeA
影が海向いてる描写ゾッとした、連れてかれる前兆じゃん
ななし@M4T0Zx
潮位表と現実ズレてるのいいな、時間感覚狂わされてる感じが怖い
ななし@W2aK7N
動かない人たちが一斉に一歩出るの、想像しただけで背中寒くなった
ななし@8dLQFp
満潮なのに靴濡れてるオチ最高
これ翌日も同じ時間に呼ばれるやつだろ…


