古い路線の地下鉄で
なるかみこ@narukamiko
その地下鉄路線は、都心を一周する古い路線だった。深夜でも人が多く、終電間際でも完全に無人になることはない。――はずだった。
その日、俺が乗ったのは午前0時を少し過ぎた電車。車内には俺を含めて、たった4人しかいなかった。
サラリーマン風の男、イヤホンをした女、奥の席に座る黒いコートの男。走り出してすぐ、奇妙なことに気づいた。駅を出てから、異様に長い。
なるかみこ@narukamiko
トンネルの闇が、いつまでも終わらない。やがて、車内放送が流れた。
「次は……次は……」
名前が言われない。そのまま減速し、見覚えのないホームに停車した。
駅名標はある。だが、文字が黒く塗りつぶされていた。降りたのは黒いコートの男だけだった。ドアが閉まる直前、男がこちらを振り返り小さく言った。
「まだ、下だよ」
次の駅。また同じような名前のないホーム。イヤホンの女が立ち上がり、何も言わずに降りた。
なるかみこ@narukamiko
残ったのは、俺とサラリーマンの男だけ。男が汗だくで呟いた。
「……この路線、こんなに深かったか?」
スマホの電波は立っているのに、現在地が表示されない。地下何階なのかも、一切表示されていなかった。三度目の停車。今度はホームすらなかった。トンネルの途中で止まり、ドアが開いた。闇の向こうに、階段が下へ続いているのが見えた。放送が流れる。
「降りる方は、お足元にご注意ください」
サラリーマンの男は、半ば呆然としたまま立ち上がり階段を降りていった。
なるかみこ@narukamiko
車内に残ったのは俺一人。次の瞬間、座席の下から声がした。「最後まで行く人、久しぶりだな」
どこからともなく、湿った声が響く。「下に行った連中は、もう“戻る駅”がない」
急に電車が動き出した。速度は、さっきよりも速い。トンネルの壁に、無数の白い手形が見えた。全部、下に向かって伸びている。突然、ブレーキがかかり車内灯が消えた。
なるかみこ@narukamiko
次に灯りがついたとき、電車はいつもの最寄り駅に停まっていた。アナウンスが、何事もなかったように流れる。
「終点です。お忘れ物のないよう――」
ホームに降りた瞬間、背後でドアが閉まった。振り返ると、その車両には俺一人しか映っていなかった。駅の掲示板には、小さく注意書きが貼られていた。
「※深夜、一部列車は途中駅に停車しません」
ななし@L9Qd4A
地下鉄で「下に行く」って発想がもうダメ
深さ=終わりって感じが怖い
ななし@8FSmP2
駅名消されてるの地味に怖い、存在しない駅ってことだよな
ななし@Rk0T7Z
途中で降りた奴らがもう戻れないってのが一番ゾッとした
選択式ホラー好き
ななし@M3EwVx
白い手形が全部下向きなの想像して鳥肌立った
ななし@Y2AqNf
「最後まで行く人、久しぶり」って
今も誰か待ってる感じして後味悪いわ


