終電に乗ったはずなのに
なるかみこ@narukamiko
その路線は、地元では「本数が少ないことで有名」だった。特に夜は早く、終電を逃すとタクシーしかない。その日、俺は仕事が長引き、ギリギリで終電に飛び乗った。車内は思ったより空いていて、乗客は十人もいなかったと思う。
不思議だったのは、誰一人とスマホを見ていなかったことだ。全員、無言で前を向いている。数駅進んだところで、突然、車内灯が一瞬だけ消えた。次の瞬間、アナウンスが流れた。
なるかみこ@narukamiko
「次は……つぎは……」
行き先が、最後まで言われなかった。その駅で、乗客が半分ほど降りた。
降りる直前、一人の老人がこちらを見て、小さく首を横に振った。「降りるな」そう言っているように見えた。
次の駅、また灯りが消え、アナウンスが途切れる。
なるかみこ@narukamiko
降りる人間が、また減った。
この頃には、車内に妙な匂いが漂っていた。湿った土と、古い鉄の匂い。気づいたとき、
路線図が変わっていた。見覚えのない駅名だ。しかも、終点が表示されていない。
「おかしいだろ……」
そう呟いた瞬間、隣に座っていた男が口を開いた。
「ここ、終電じゃないですよ」
なるかみこ@narukamiko
男は笑っていたが、目だけが笑っていなかった。
「帰る人の電車じゃない」
次の停車駅で、ドアが開いた。ホームには誰もいない。駅名標だけが立っていて、そこにはこう書かれていた。
「下車不要」
その瞬間、車内にいた全員が一斉に立ち上がった。全員、ドアとは反対側を向いている。
なるかみこ@narukamiko
アナウンスが流れた。
「こちらは、降りなかった方のための電車です」
背後で、何かが近づく気配がした。次に気づいたとき、俺は最寄り駅のベンチに座っていた。時計を見ると、終電が出る前の時間だった。
スマホには、見覚えのない写真が一枚残っていた。車内を撮ったものだ。写っているのは、座席に並ぶ、人の影だけ。その数は、乗ったときより一人分多かった。
ななし@R8F3Lm
終電の次に来る電車って発想がもう怖い
現実でもありそうなのが嫌
ななし@KQ7pA2
「帰る人の電車じゃない」って台詞ゾクッとした
降りるのが正解なのか不正解なのか分からんのがいい
ななし@X4M9sE
路線図変わるの王道だけど、
駅名「下車不要」はセンスある
ななし@0WZcY5
写真に影だけ写るの怖すぎ
一人分多いの気づいた瞬間ゾワっとした
ななし@P3Nf8D
老人が首振るところ好き
ああいう無言の警告が一番信用できる


