大学のサークル仲間4人で山に行った時のこと、そこで見たものとは…
なるかみこ@narukamiko
地元では有名な低い山だった。標高も大したことはなく、登山というより散歩コース。
それでも、地元の年寄りは口を揃えて言っていた。「夕方以降は入るな」と。
理由を聞いても、「昔からそう決まってる」「戻れなくなる」と、曖昧な答えしか返ってこない。
なるかみこ@narukamiko
大学のサークル仲間4人で、その山に入ったのは夏の夕方だった。目的は心霊スポット巡りでも肝試しでもない。ただ、夕焼けが綺麗だと聞いたからだ。
山道は思ったより整備されていて、途中までは普通のハイキングだった。だが、頂上近くで違和感が出始めた。同じ場所を、何度も通っている気がした。
倒木、割れた石、赤いスプレーで描かれた「→」の矢印。「さっきも、ここ通らなかったか?」
誰かが言った瞬間、全員が黙り込んだ。確かに、三回目だった。
なるかみこ@narukamiko
スマホのGPSを見ると、位置情報が山の中心で微動だにしていない。圏外ではない。ちゃんと電波は立っている。なのに、現在地だけが更新されない。そのとき、少し先の木の影に、人が立っているのが見えた。作業着のような服装で、こちらに背を向けている。
「すみません、下山道どっちですか?」声をかけると、その人はゆっくり振り向いた。顔が――誰のものでもないように、のっぺりしていた。目も鼻もあるはずなのに、輪郭だけが浮いている。
理解する前に、そいつは山道の奥へ歩き出した。不思議なことに、ついていけば出られる気がした。俺たちは無言で、後を追った。
なるかみこ@narukamiko
気づいたときには、空が真っ暗だった。慌てて引き返そうとしたが、道が消えていた。獣道も、登ってきたはずの階段もない。
代わりに、木の幹に同じ文字が刻まれていた。
「かえりは ひとり」
そのとき、誰かが言った。「……人数、合ってる?」数えた瞬間、背筋が凍った。4人で来たはずなのに、5人いた。しかも、誰もその“余分な一人”を見ようとしなかった。見たら、終わると本能でわかった。
なるかみこ@narukamiko
次の瞬間、後ろから土を踏みしめる音が消えた。振り返ると、ひとり分の足跡だけが、途中で途切れていた。
気づけば、俺たちは山の入口に立っていた。時間は、山に入る直前の夕方。スマホには、知らない番号からの写真が1枚届いていた。そこには――山道を歩く、後ろ姿の俺たち4人が写っていた。
撮影者の影は、
5人目の形をしていた。
ななし@a9f3Kd
低山ほどこういう話多いのわかるわ…地元ルール無視すると大体こうなる
ななし@Xk72mP
「かえりは ひとり」って文字、めちゃくちゃ嫌だな
数減る前提なのが怖い
ななし@0rF9uQ
5人目を誰も見ようとしないのリアル
見たら認識される系か
ななし@Lm8s2A
GPS動かないの現代ホラーって感じで良い
山×スマホは鉄板だわ
ななし@Vt3ZpW
写真撮った“5人目”が今も山にいると思うとゾッとする

