午前2時の客

仕事・バイト
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2026.01.03
2026.01.03
2026.01.02
2026.01.01
2026.01.01

コンビニバイトをしている時に、訪れた客の正体は

なるかみこ@narukamiko

俺は大学の近くにあるコンビニで、深夜バイトをしている。時間は午後11時から朝5時。駅からやや外れた場所にあり、客は少なく、暇な日も多い。だが、毎晩必ず来る“ひとりの客”がいた。黒いパーカーに、キャップ。いつも午前2時ちょうどに来て、カップ麺ひとつと500mlのお茶を買う。顔はうつむきがちで、はっきり見えたことはなかった。

「またあの人来たな。時間ぴったりすぎて怖くね?」

深夜バイト仲間の三浦がある晩、そう言った。

「録画見たらさ、レジカメにも顔全然映ってなかったわ。帽子のせいだけじゃない」「てかさ、あの人、毎回お釣り受け取らないんだよな。受け皿に置いたまま出ていく」

その日のバイトは俺ひとりだった。


なるかみこ@narukamiko

1:55。
掃除を終え、レジに戻ると、モニター越しに入り口のドアがゆっくり開いた。誰もいないように見えたのに、次の瞬間、棚のカップ麺がひとりでに落ちた。そして、レジに商品が置かれた。

俺は、何も言わずに精算した。お釣りを渡そうとすると、案の定、受け取らないままドアが開いた。でも――そのとき、俺の耳元でこう囁かれた気がした。

「……これで七つ目」

俺は、背後に人の気配を感じて振り返った。そこには誰もいなかった。


なるかみこ@narukamiko

けれど防犯カメラの映像には、俺の背後に、もうひとり立っていた。次の晩も、やはり午前2時きっかりに来た。カップ麺、お茶。無言でレジに置き、釣り銭は受け取らず出ていく。袋もいらない、手にも持たない。

ただ、去っていく背中が妙に濡れていたように見えた。その後、俺は気になって過去の監視映像を確認した。1週間分、午前2時の映像。

全て同じ:入店→商品→レジ→釣り放置→退店。だが、ある夜の映像だけ、何かが違っていた。客が、途中で振り返っている。


なるかみこ@narukamiko

その顔は――ぐちゃぐちゃだった。皮膚が濡れ、目鼻の位置が崩れたように見えた。モザイクのようにぶれていて、明らかに“人間の顔ではない”。しかもその夜、レジ横にある防犯ミラーに映った客の姿は、俺自身だった。

「お前、あの客の正体知ってるか?」

バイト明けに、三浦が小声で言った。

「俺、前に入ったとき、試しにあの人のこと追いかけたんだよ。でも……駐車場に出たら、誰もいなかった。ていうか、カメラの映像見返したら――」「“俺が”店に入ってきてることになってた」

三浦はその翌日、無断欠勤した。電話も通じず、LINEも既読にならない。


なるかみこ@narukamiko

その夜、俺はカップ麺の棚の奥から「お釣り」の入った封筒を見つけた。そこには、何枚もの硬貨と、紙切れが入っていた。

「七回受け取らせたら、抜けられる」「そうしないと、“そっち”に行くのは君の方になる」

手紙の最後に書かれていた名前は、三浦 亮太。俺は理解した。あの客は、俺たちの“代わり”を探していたのだ。今、次に“受け取らせられる誰か”を。


なるかみこ@narukamiko

深夜1:58。俺は心臓の鼓動が早まるのを感じながら、レジに立っていた。手元には、“釣り銭用の硬貨”を入れた封筒。中には、あの客が置いていった“受け取り忘れた”お釣りが七枚分ある。

「七回受け取らせたら、抜けられる」

あのメモの言葉が頭の中で何度も響く。

2:00。ドアの自動音が鳴った。チリン、と鈴のような音が遅れて響いた。誰もいないはずの店内に、黒いパーカーの影がすっと棚を通り抜けてきた。


なるかみこ@narukamiko

例によって、カップ麺とお茶を、無言でレジ前に置く。俺は、鼓動を抑えながら会釈し、会計を済ませた。

「…こちら、お釣りになります」

硬貨の載った受け皿を、そっと差し出した。だが、その手は…宙を掴んだだけだった。客は、いつものように背を向け、出ていこうとする。

「ちょっと待ってください!」

俺は思わず叫んだ。その瞬間、客の足が止まった。

「……七つ目……?」

振り返った“それ”の顔は、俺自身だった。


なるかみこ@narukamiko

正確には、“水に沈んだ後の俺”のような腐った顔。右目だけが濁って開き、口は裂けるように笑っていた。俺は恐怖で足が動かず、ただ封筒をその場に置いた。

「…頼む、次は……俺じゃない」

その“俺”は、封筒を一瞥し、ゆっくりと受け皿の上から硬貨を取った。瞬間、空気がふっと変わった。冷蔵庫の音、照明のブーンというノイズ――すべてが戻った。客の姿は、もうなかった。朝、交代に来たスタッフが一言。

「今日ってあの常連さん、来てなかったね」

俺は笑った。


なるかみこ@narukamiko

「いや、来てたよ」「ただ、次は……君の番かもしれないけど」

その夜から、深夜2時に来るのは、“別の男”になった。そいつも毎晩、釣り銭を受け取らずに帰っていく。そして、俺のスマホのメモ帳には、勝手にこう書かれていた。

「0/7 あと六つ」


ななし@A4Q9K7F

釣り銭7回で“入れ替わり”ってルール、地味で怖いタイプの呪いで好き


ななし@8X0M5ER

「受け取らせたら抜けられる」って地味に地獄だな…助かるには誰かを巻き込むしかないやつ


ななし@L1C6WZ2

監視カメラに“もう一人の自分”映る描写、ずるいけどめっちゃ効く


ななし@H3TBN8q

常連って言葉、普通なのにこの話読んだらマジで怖くなるな…


ななし@YD9J20m

深夜2時固定で来る客ってだけで不気味だったのに、最後の“次は君の番”で心臓止まったわ

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