ビル影の窓

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2026.01.03
2026.01.03
2026.01.02
2026.01.01
2026.01.01

オフィスビルには、何かが佇んでいる

なるかみこ@narukamiko

俺は都内で警備会社に勤めている。主な業務は、オフィスビルの防犯カメラ監視と、夜間巡回。場所は、品川区の再開発エリアにある高さ28階の新築オフィスビル。築2年のビルで、セキュリティは最新。監視カメラは各階のエレベーターホール、廊下、屋上、地下などに設置されている。

ある日、深夜の当直で、いつものようにモニター室に座っていた俺は、22階の西側非常口前の映像に、“不審な影”が映っているのに気づいた。シルエットは細身の人影。ただ、普通じゃないのは、真っ黒な服に、顔が“のっぺり”している。

監視カメラは赤外線感知もあるため、誰かが立っていれば反応して録画される。俺は気味が悪くなりながらも、別カメラに切り替えようとした。だが、その時点で22階の映像がすべてブラックアウトした。


なるかみこ@narukamiko

ノイズもなく、ただ真っ黒、他の階は正常に映っている。数分後、22階の映像が再び戻ると影はもういなかった。だが、廊下の壁に赤黒い手形が一つだけ残されていた。翌日、報告書を上げようとしたが、上司は言った。

「ああ、あれまた出た? 気にしないでいいよ。あの階、空きテナントだし」「開発中に事故あったからさ。“誰か”が残ってるだけだろうね」

冗談のように笑う上司に背筋が冷えた。その夜、自室に帰ってから、俺はスマホで22階の映像を確認していた。一時停止して、ズームした瞬間、カメラ越しに、あの影と目が合った。

次の瞬間、スマホがフリーズ。画面が暗転し、「22」とだけ浮かんだ数字がじっと残っていた。


なるかみこ@narukamiko

翌日、俺は念のため22階へ上がった。昼間だし、人の気配もなく静かだ。内装前の空きテナントで、壁には配線ケーブルが垂れ、埃の匂いがこもっている。だが、異様な“違和感”があった。

一つ、窓が内側から目張りされていたのだ。他のフロアは大きなガラス張りなのに、22階の西端の窓だけ、アルミの板で完全に封鎖されていた。気になって、管理会社に聞いてみた。だが返ってきたのは曖昧な答えだった。

「最初からそうだったんじゃないですかね?」「たぶん設計の都合かと」

だが建設時の設計図を調べると、本来そこには“非常階段があったはずの空間”が記載されていた。にも関わらず現地には階段はない。代わりに、妙に幅の狭い窓がぽつんと残っていたのだ。


なるかみこ@narukamiko

その夜、俺は再び勤務中、エレベーターの映像に異常を発見する。深夜1:22、22階でエレベーターが自動的に開いた。

誰も乗っていない。

ただ、カメラには、“床の一部が黒く染みている”ように見えた。

次の瞬間――カメラの映像に、誰かが“逆さにぶら下がっている”姿が映った。髪が垂れ下がり、足が天井に消えている。目のない女の顔が、エレベーター内を見下ろしている。

そのまま、エレベーターは無人のまま下降していった。動揺して操作室の非常録画保存を確認すると、
その動画ファイルの名前は勝手に書き換えられていた。

「22_naka_no_ue」(22階の中の“上”)


なるかみこ@narukamiko

その直後、俺のスマホに非通知で着信が来た。着信画面には、「22F・ノゾキマド」と表示されていた。

震える指で通話を切ろうとしたが――画面が暗転し、うっすらと映る自分の顔の“後ろ”に、“顔のない女”が立っていた。翌日、俺は意を決して22階のあの“窓”に再び向かった。昼でもそこだけ妙に空気が重く、足音が吸い込まれるようだった。

近づくと、アルミ板の端にほんの小さな“隙間”があるのに気づいた。覗いてみようと目を当てた瞬間

「……みてるの……だあれ?」

耳元で声がした。背筋が凍り、後ずさると、そこには誰もいなかった。でも、目を当てていた“隙間”の内側に、濡れた手の跡がくっきり残っていた。

その夜、俺はかつてこのビルの施工に関わった元作業員を探し、話を聞くことができた。彼は最初、口を濁していたが、ぽつりとこう言った。


なるかみこ@narukamiko

「22階な。あそこ、死んでる」

「解体直前の廃ビルがあった場所なんだよ。22階建ての老朽ビル。その22階で、社員がひとり飛び降りた。でもな、その死体、“階段の中”にあったんだよ」

「開かない非常口の向こう、閉鎖された旧階段室。そこの窓から、いつも外を見てたらしい。“誰かが自分を見てる”って怯えてな」

俺は知っていた。今のこのビルにも、その“窓”だけが残っている。

取り壊しの際、元の躯体に埋もれたまま、「窓」だけがそのまま残され、「非常階段」として図面上“処理された”。


なるかみこ@narukamiko

深夜2:22、監視カメラに異常が出た。今度は、全フロアの映像に同時に“同じ女”が映っていた。顔がない、ただ笑っているような“裂け目”だけが動く。その全ての映像の女が、こちらを“見上げていた”。

俺のいるモニター室の天井を、その瞬間、室内の電気が落ちた。暗闇の中、天井の換気口から髪の束がゆっくり降りてきた。見上げると、顔のない女が“逆さまに”こっちを見ていた。

「みないで……かえして……」

気づけば、俺は床に倒れていた。翌朝、同僚に発見されたとき、俺の顔は真っ青で、目だけが開いたまま動かなかったという。以来、22階の監視映像には、決まって“右目だけ”がフレームの端に映るという。そしてその映像ファイルの名前には、こう自動で書き換えられていた。

「みられた」
「つぎは そっち」


ななし@7QK8D2A

顔のない女が“逆さに”見下ろしてるの怖すぎ。エレベーターの天井とかマジ無理


ななし@M0R5Y9F

「22_naka_no_ue」ってファイル名、鳥肌立った。何が“中の上”なんだよ…


ななし@L4C1Z6W

目を合わせた瞬間スマホに“22”だけ残るの、地味だけどゾクッとした


ななし@HNqT3B8

監視カメラに“全階同時出現”って映像、絶対に見たくないわ…


ななし@J2X0E9m

オフィスビル×廃階段の組み合わせ、まさに街中ホラーの完成形だわ。実在しそうで困る

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